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コラム(今月の言葉)|Column
“共感する心”を科学する 

日本心理学会の公開講座シリーズの「心を科学する“心理学”」に参加して。
「共感」という文字と「科学する」というつながりに興味を感じた。講演のサマリーと自身の気づきを述べようと思う。
3人のプレゼンターによる発表はそれぞれの興味分野から、発達科学、教育神経科学、認知脳科学をベースに行われた。

第一は、乳幼児の社会的認知の研究で、「赤ちゃんは生まれながらに正しくやさしいのか?」という問いから、人の本質は生まれながらに善なのか、悪なのかについて世界で研究がなされてきた。近年は性善説が主流であり生得的に向社会性や道徳が備わっている可能性が示唆されている。

共感は、向社会行動での主な構成要素といえる。情動的共感と認知的共感があり、それは他者と同じ気持ち(同情)、感情が自動的に作り上げられる情動的共感と、他者の視点からものごとを推論して認知する認知的共感である。

実験から発達早期での向社会性に関する実験で、援助行動(助ける)・共有行動(分配する・公平)・慰め行動(慰める)という状況を作り、子供のそれぞれに対する行動から向社会行動が示唆された。つまり、生得的に向社会性が培われているといえるようだ。


第二は、自閉スペクトラム症を持つ方々の他者理解についてだった。共感は前述している2種類の共感、つまり認知的共感と、感情(情動)的共感だが、認知的共感は他者の気持ちを理解するということだが、自閉スペクトラム症にとって(サリーとアンの課題による実験によって)、視点取得(他者の視点で共感する)が難しい点であることが分かった。そして感情的共感については他者の気持ちを共有するということだが、この共感的関心は自閉症者は誰に対しても共感を持ちにくいといわれているが、同じ自閉症者に対しては共感的な反応を示す可能性があると考えられるようだ。


第三は、人はロボットにも共感するというテーマで、未来に向けた挑戦的内容だった。
実験で自分と異なる人種の身体を所有するバーチャルの世界にいると自分の潜在的態度が変わったという結果になった。実験では白人がバーチャル上で黒人になると実験後、黒人に対する差別意識が弱まったという実験結果になったのだ。


未来には、新しい身体を実世界でもバーチャルでも手に入れることになるかもしれない。それによって、他者への態度・共感が変わり、他者からの態度・共感が変わるのではないか。
共感とは、今更ながら社会を生きていく上で、無くてはならないもの。youtubeの動画でタイの泣けるCMを見てほしい。それを見ているだけで、自然と涙が流れてしまう。この映像は世界の多くの人々が同じように涙を流し、この感動を共有している。しかし、すべての人ではないのも事実だろう。それぞれの認知の仕方によって、共感の捉え方は違うし、表現も違うのだ。

共感という言葉の中に、道徳的理解、公平感、正義感、善悪判断、共有感など多くの意味が含まれていると感じた。




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