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コラム(今月の言葉)|Column
わたし色のキャリアを紡ぐ3  忘れられない学生たち<ジーザースクライスト>

ある大学で2年生のキャリアデザインの授業を担当することになった。その大学ではキャリアデザインの授業で単位が取れるとあって、とりあえず科目を取ったといった50人の学生たちが教室に入ってきた。
ほとんどの学生は、バイクやマイカーで大学に通っている。のんびりした環境の中で、自宅から通ってくる、優雅な学生たちが多いようだった。

初回の授業を終えて、彼らは学問を学ぶ意味を理解して大学に通っているのだろうかと、考えさせられていた。そして、15回の授業を行っていくわけだが、私は何を彼らに残せるのだろうかと頭を抱えてしまった。シラバスは、決まっているものの、どのように運営するかは、彼らに合わせて教えていく必要があった。

彼らは数種類のグループに分けることができた。ちょい悪といった感じで徒党を組んでいるグループと、まじめそうな学生たち、少数ではあるが女子学生、ちょっとオタク系の学生たちといった分類になった。
その中のちょい悪グループに、「ジーザースクライスト」がいた。始まるギリギリで教室に入ってきた。それもグループに群れているわけでもなかった。やせ気味の筋肉質、髪の毛がまさにジーザース、つまり肩より長いウェーブの髪をそよがせて、いつもおしゃれにヘビメタ風のベルトやアクセサリーで着飾って(?)いるのだ。

彼はグループワークが苦手らしく、多くを語らず面白くなさそうな表情ではあるが、やる気がないわけでもないようだった。ある時クラスを回りながら、たまたま彼のワークシートを見た。サッカーについて書いていた。私は、ジーザースがサッカーをやっていることになぜか意外な印象をもった。それは、やる気のなさとスポーツ魂のギャップだろう。


そんなジーザースが、7回目の授業が終わって片付けている時に、めずらしく私に近づいてきた。彼はこう私に言った。
「先生、今まで先のことなんて考えても無駄だと思っていたんだけど・・・。最近ちょっと考えているんだ。」促していくと、彼は話を続けた。「俺、サッカー、ずっと中学からやってたんだ、今もやっているんだけど・・・。最近やる気がしていなかった。大学を卒業したら、社会に出て仕事していくわけだからね。でも、この授業を受けて、やっぱりサッカー好きなんだって思ったんだ。Jリーグは無理だけど、なんか関わっていけたらいいなって・・・。」
ジーザースは、私にYESを求めているように思えた。私は、彼が自らの気持ちに気づけたことに対して、彼の努力を認めた。そして、どのような未来が考えられるか、二人で考えた。彼は、サッカーの先輩や先生から情報を集めることを決めた。

9回目の授業が始まる時間になった。ジーザースクライストが教室に入ってきた。が、そこにはジーザースはもういなかった。バッサリと髪の毛を切った爽やかな学生だった。

「人生を変えるのは、誰でもない自分なのだ。」学生に伝えたかったメッセージである。
来月のコラムでは、自分の考えを語る喜びを知った大学生たちの話をします。



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