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コラム(今月の言葉)|Column
私のルーツが見えた本

私のところに、一冊の本が届いた。父方の叔母からであった。私の祖父が記録してきたノートを創業130年記念として本にしたものだという。タイトルは『昔がたり』である。
私の実家は、大川印刷と言い横浜で古くから営んでいる印刷会社である。

私の記憶にあるのは、祖父が病弱で夏は軽井沢の別荘で静養をして、家の敷地に能舞台や茶室を作り自ら絵や俳句、能楽を楽しんでいた自由人という印象でしかなかった。仕事と趣味の時間の比率をあえて言うとすれば、2割8割で趣味が中心といえる、今の世の中で言えば、セレブといえよう。そのような印象を持っていた、この本を読むまでは。

そんな祖父の語りは、昭和17年から綴られていて、明治17年の自分の生い立ちから始まり、身の回りの世界や、近親者や従業員の人生にまで及んでいる。祖父は実父の兄の養子となった。その理由もわからないままに養子になったことに対し、納得感のない状態で成長してきたことが綴られている。そして、いろいろあったが養父との絆によって信頼しあう親子になっていったことも書かれている。
養父の最後に間に合わなかった時の悔しさは、育ての親に対する愛情が感じられた。書かれている文面には、特段のイベントもなく淡々とした生活が綴られていたが、その時代の価値観や、社会性が感じ取れるものであった。その本にある家系図の中に私の名前も記載されており、それを見つけた時は綿々と続く大川家の営みが少し感じられたように思う。 

祖父たちにとって、その時代にはキャリアなどという言葉もなく、戦争の真っただ中をとにかく生き抜いてきたのだろう。そして先がどうなるかさえ考えられない中、「今ここ」を必死で生きてきた先達たちの生きざまを垣間見て、人の営みの流れが見えたように思う。

祖父はこの語りで何を伝えたかったのだろうか。自らのキャリアストーリーを書き上げたかったのだろうか。自分の周りにいた普通の人たちの営みを記録したかったのだろうか。

さて、私は何を語ろうとしているのか。何が語れるのだろうか。自分のキャリアストーリーを語ってみるといいかもしれない。


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